先日、自社のロゴが新しくなったのですが、とても良い感じで気に入っています。
この大切で特別なロゴを使うなら、名刺もとびきり素敵にしたいと思い、初めて活版印刷の名刺に挑戦しました。
できたのがこちら!ジャーン!
ワイン色の少し厚めの紙に、シルバーのインクで印刷しています。
ロゴの繊細なラインが際立つ名刺になったと思います。嬉しい。
活版印刷に興味があるという方も多そうなので、活版印刷で名刺を作る手順や費用感、納期などを備忘録としてまとめてみました。そして、出来上がった名刺を受け取りがてら、印刷をお願いした、大阪の「桜ノ宮活版倉庫」さんにいろいろお話を聞いてきました。
活版印刷とは
活版印刷とは、金属などで出来た版(ハンコみたいなもの)を活版印刷機にセットし、インクを塗り、圧力をかけけて印刷する印刷方法になります。
圧をかけるので、紙の表面に凸凹が出来て、味わい深い仕上がりになるのが特徴です。
昭和の時代は、どの町にも活版印刷屋さんがあって、家族の年賀状などを請け負って作っていたのだそうです。
町の写真屋さんみたいに、町の活版印刷屋さんがあったんですね。
活版印刷で名刺を作るまでの流れ
活版印刷で名刺を作りたい!と思ったら、何からすれば良いのでしょうか?
どこで印刷するのか、デザインを自分でやるのかによって流れは変わって来ますが、今回の私の場合を振り返ってみます。
名刺デザインをぼんやり考える
ざっくりと、どんなデザインの名刺したいのかを考えてみます。
でも初めて活版印刷で作るとなると、どうしたらよいのか分からないかもしれない。
私は、印刷をお願いした桜の宮活版倉庫さんを訪問して、実際の制作例を見せてもらいました。
近くに印刷所があるなら、この方法がいちばん確実だと思います。
紙とインクを選ぶ
紙の種類は本当に多種多様です。色や手触り、厚み、いろいろありすぎるので、これもできれば、実際に触って質感を確かめて決められると良いですね。
インクも色がいっぱいありますので、これも選ぶのが大変。紙に印刷した時、紙の色によって発色が変わってきますので、どの紙とインクを組み合わせるのがよいか、印刷所の方にアドバイスをもらったほうが良いと思います。
私は今回、シルバーのインクを選びました。印刷すると紙の色になじむので派手にならず、でもくっきり文字が見えるし、ちょうどよい感じでした。
紙とインクの選択はデザインにも関わってくるので、この工程はデザインの前でも良いかも。
データを作成して入稿
イラストレーターで名刺デザインのデータを作ります。
活版印刷はフルカラー印刷はできませんので、データは黒一色で作ります。
色が一つしか使えないのかというと、そうではなく、特色を1色ずつ印刷していきますので、2色、3色などの指定は可能です。
オフセット印刷のように、CYMKの4色のインクを組み合わせて色を出すということができないだけです。
そんなわけで、活版印刷の名刺は、とにかくシンプルなのがオススメです。
発注
紙とデザインが決まったら、名刺を発注します。
印刷屋さんに常に紙のストックがあるわけではありませんので、注文が入ると、必要な紙を問屋さんから取り寄せてくれます。
版を作って印刷
名刺デザインをもとに、版を作って印刷します。
活版印刷の機械はとってもアナログ。経験と感覚をたよりに、手作業で調整する感じです。
版の位置が微妙にずれていたら、隙間に板や紙を入れて、0.2ミリとかの単位で調整します。
たとえば、こんなトンボのずれを調整するために・・・
フレームと版の間に、ちょっとづつ、ちょっとづつ、金属板や紙を挟んで位置を合わせているという。
調整が終わったら、次は印刷。
版を板に両面テープで付けて、枠に固定します。
その後、活版印刷機にセット。
インクはローラー部分に塗ります。そうすると、まんべんなくインクを版につけることができるのだそうです。
版がずれたり、機械が紙を一度に何枚も巻き取ってしまうこともあるので、印刷中はずっと機械の横についてチェックしています。こちらは失敗作の一部。一気に4枚重なったしまったため、印刷できなかった例。
他にも、失敗作がいっぱい。ちょっとずれてしまったり、インクが多すぎたり少なすぎたり。印刷工程のほとんどの時間は、この調整に費やされています。
裁断
印刷が終わったら、名刺のサイズにあわせて裁断します。
支払い
完成したら納品!素敵な箱に入れてくださいました。
お支払いは現金か銀行振込です。
出来上がった名刺は発送もしていらっしゃいますが、なぜか直接、受け取りに来られる方が多いそうです。
そういえば、私もそうです。なんでだろう?やはりみんな、思い入れがあるからなのかなー。
活版印刷で名刺を作るときの費用
金額は、どの紙をつかうのかと、印刷の色数によって決まります。
今回、私がお支払いしたのは、200枚で20,088円。内訳はこんな感じです。
- 印刷費 16,000円
- 版 1つ 1,800円
- 紙 4,300円
版は2年間、保管してくださるそうです。次回からは版の制作代金が要らなくなるというわけですね。
桜ノ宮活版倉庫さんについて
今回、活版印刷の名刺をお願いした、桜ノ宮活版倉庫さんは、JR環状線・桜ノ宮駅から徒歩2分くらいの場所にあります。
桜ノ宮活版倉庫さんは、印刷だけでなくデザインデータの作成からお願いできます。紙も、日本国内に流通している紙ならほとんど手に入るそうで、ハッキリとこんな紙というのが決まってなくても、希望を伝えればピッタリの紙を見つけてくれます。
活版印刷は、ネットで安く注文することもできますが、紙をいろいろ選べなかったり、版下データを自分で用意しないといけなかったりします。紙にこだわりたい方や、デザインデータを自分で作れない方は、こういった印刷所に行って相談するのが良さそう。
オーナーの小瀬さんにお話を聞いた
わたしはWeb屋さんなので、印刷のことが全く分からず・・・そんな私に、オーナーの小瀬さんが、活版印刷のことを教えてくれました。
写真まで撮らせていただいて、感謝!
小瀬さんに、なんで活版印刷をやってるのかお聞きしたところ・・・なんとなく好きだから。というシンプルな答えが返ってきました。
なんとなくやってみたら、活版印刷がもっと好きになった。活版印刷がきっかけで、いろんな人に興味を持ってもらえたり、普段会わないような人と出会えたりするのが楽しいのだそう。
なんか、わかりますそれ。
私のブログもそんな感じ。たいした利益にはなってないんだけど、ブログを書いていることで、こうして誰かとつながれたりするのが嬉しいんですよね。
西日本最大級の活版印刷イベント「活版WEST」
小瀬さんは「活版WEST」というイベントを毎年やっているそうで、九州や中国地方からも活版印刷屋さんが集まり、かなり盛り上がるそうです。韓国からも人が来るのだとか。
今年は2018年6月16日と17日に開催され、来年もおそらくやります、との事でした。
地方に行っても、活版印刷屋さんどうしは、「活版印刷やってます!」と挨拶するだけで、一瞬で仲良くなって、工場をちょっと見せてもらえたりするらしい。
なんかコミュニティ的な感じが、とても良いですね。
大阪で活版印刷の名刺が作れるところ
どうでしょう、活版印刷にますます興味が湧きましたか?
大阪で活版印刷の名刺をお願いできる印刷所をいくつかピックアップしてみましたので、参考にして頂ければと思います。
活版印刷|CAPPAN STUDIO(活版スタジオ)
〒547-0041 大阪市平野区平野北2-14-2
http://cappan.co.jp/about/
大阪の活版印刷スタジオ なにわ活版印刷所
〒531-0076 大阪市北区大淀中3丁目8番11号
https://kappan.did.co.jp/
Echos Design & Letterpress
〒541-0059 大阪市中央区博労町1-2-17 briq SHINSO BLDG 1F
http://echos.site/top/
活版印刷名刺の株式会社桶屋
〒550-0014 大阪市西区北堀江2-8-17-902
http://studiokeya.com/menumeishi2.html
YAMAZOE PRINTING INC. 有限会社 山添
〒536-0007 大阪市城東区成育3丁目11番8号
http://www.yamazoe-p.jp/
桜ノ宮活版倉庫
534-0027 大阪市都島区中野町4-5-24
平日 13:00〜18:00
電話:050-3566-8919
http://kappan-soko.com/
https://www.facebook.com/kappan.soko/
JR大阪環状線「桜ノ宮駅」西口から徒歩2分
駐車:1台のみOK